漢字を崩して仮名文字を作るとき、その音を持つどの漢字からその仮名を作るのかは、特に一定していませんでした。
 例えば「あ」という仮名文字は「阿」という漢字を崩したものが主に用いられてきましたが、「い」の場合は「以」と「伊」の二つの漢字を崩したものがあり、崩す段階もさまざまです。「か」の場合は「可」「賀」「歌」の漢字を崩した仮名があります。「つ」の場合は、「川」「津」「徒」「都」の4つの漢字が用いられ、それぞれ異なる仮名になっています。
 このように、同じ仮名文字でも、もとになる漢字はいろいろあり、それによって仮名の形も異なっているのです。
 明治になって、仮名文字を統一することになりましたが、そのとき、現代の仮名文字と異なる仮名文字は「変体仮名」と呼ばれることになりました。
 「変体仮名」は、今日では日常的に使われることはなくなってしまいましたが、文字としての面白さや美しさなどから、愛好する人は数多くいます。
 「板かるた」に用いられているのは、まさにこの「変体仮名」なのです。