屯田兵たちの間から生まれたこの「板かるた(下の句かるた)」は、取り札に書かれる文字もまた工夫をこらしたものでした。
 「板かるた」の取り札は、一枚一枚が墨と筆で書かれた手作りの札です。
 書き手は、百人一首の下の句を書いていくときに、普通の仮名文字で書くのではなく、「変体仮名」を用いて、見て楽しい札を作っていきました。
 だれもがよく知っているように、日本人が用いている「仮名文字」は、中国から伝えられた漢字をもとにして作られたものです。
 日本人は、洗練された美しい仮名文字を作り、書き、読むことを大きな楽しみとしてきました。「書」は日本の伝統文化の大きな柱となっています。
 「板かるた」の取り札は、まさにそうした日本文化の結晶ともいえるものです。